ステロイド薬

ステロイド薬を使う方は正しい知識が必要です
アトピーで悩む方の多くが、ステロイド薬を使用していると思います。ステロイド薬を上手に使うには、正しい知識を持ち、レベル・用量・用法・期間をしっかり管理して使う必要があります。出された薬をだらだらと使い続けるだけではアトピーの根治は難しいです。むしろ自分でステロイドホルモンを作る機能を失ったり、副作用によって苦しむリスクが高くなります。とても大事なことですから、使う人がしっかりと勉強して正しい知識を身につけましょう。

アトピー治療は「悪化因子の除去」「スキンケア」「薬物治療」の3本柱
現在、日本皮膚科学会では、アトピー性皮膚炎とは「増悪、寛解を繰り返す、掻痒のある湿疹を主病変とする疾患であり、患者の多くはアトピー因子を持つ」と定義されています。かゆくなったり改善したりを繰り返す湿疹は、何が原因かわからなくてもアトピーというわけです。アトピー性皮膚炎の治療方法は現在、診療ガイドラインにより「悪化因子の除去」「スキンケア」「薬物治療」の3本柱となっています。悪化因子は人によって違います。スキンケアは当店の石けんのようにお肌に優しい洗浄を実践したり、クリームを塗ることによる皮膚保護を指します。そして薬物治療に当たるのがほとんどの場合ステロイド薬なのです。

まずは「悪化因子の除去」ですが、アレルギー的要因の主な物としては「ダニ、ハウスダスト、食べ物(牛乳・卵など)、花粉(スギなど)カビ、ホルムアルデヒド」があります。非アレルギー的要因は「合成洗剤(シャンプー、リンス、台所用洗剤など)、ストレス、接触刺激、喫煙、アルコール」などがあります。これは人によって違いますから、一口にアトピーと言ってもこの「悪化因子の除去」の方法が千差万別なのです。自分が何によってアトピーになっているのかわからない場合は、アレルゲンの検査などを実施している病院で一度調べてみましょう。具体的な除去方法は、ダニやハウスダストであればこまめに掃除をする、食べ物であれば食べない、私のように合成洗剤であれば石けんに切り替えるなどが効果的な方法です。悪化因子は現代の医学で解明されていない物も多くあると思われます。食品添加物などは極力避けるようにしましょう。

次に「スキンケア」ですが、湿疹のある肌を正常な状態に保つために皮膚の保湿、保護などをしっかりとすることです。これも合成洗剤をやめて石けんに切り替えることは非常に有効です。保湿剤も化学合成された保存料が入っていないものを選ぶなど、できるだけ刺激の無いものにしましょう。すぐに効果が出るものではありませんから、根気よく続けることが大切です。

最後が今回のコラムで取り上げる「薬物治療」です。アトピーで苦しむ方が使っている薬のほとんどがステロイド薬だと思います。非常に効果が高いので夢の薬のように感じてしまいますが、「どういうものなのか」「どういう風に使えば良いのか」を十分理解しないまま使うと危険な薬です。少し長くなりますが、ステロイド薬を使う上で最低限持っておくべき知識をまとめましたので、最後まで読んでください。

諸刃の剣「絶大な効果と副作用」
ステロイドは、第二次世界大戦に於いて兵隊の戦闘能力を高める目的で開発研究が進みました。その後リウマチの薬として臨床試験が行われました。ステロイドの劇的な効果によって患者は痛みから解放され、夢の治療薬を作ったヘンチ、ケンドール、ライクシュタインの3名は1950年にノーベル賞を受賞します。

しかし、ステロイド薬は臨床症状の改善はもたらすものの、関節破壊や機能予後に対しては有効性を得られませんでした。むしろ、ステロイド薬中止によって関節炎はリバウンドを起こして増悪すること、しかも長期使用すれば副作用が増加することなどが明らかになりました。

ステロイド薬は、諸刃の剣の薬と言われます。劇的な効果と引き替えに、長期の連用による弊害も起こるからです。酷いアトピーで長期間苦しむ方の多くは、アトピーだけではなくこのステロイドの弊害による苦しみを同時にかかえていると考えられます。私もそのパターンで、薬は強力になっていき、薬無しでは生活できないようにまでなってしまいました。

ステロイドは、本来人間のからだで産まれるホルモン
ステロイドとは、本来は副腎(ふくじん)で産生されるホルモンです。生命の維持に不可欠なホルモンで、身体がストレスにさらされた時にはそれに反応して産生されます。このステロイドホルモンの一種を化学的に合成したものがステロイド薬です。

強力な抗炎症作用と免疫抑制作用
ステロイド薬には、さまざまな細胞に働く力があります。中でも、治療に有効な点として非常に強い抗炎症作用と免疫抑制作用があります。その他にも様々な細胞に働くので、アトピーの場合では皮膚の萎縮、血管壁がもろくなる、毛や脂腺が非常に活性化するなどの副作用があります。ステロイド薬は薄く伸ばして、決して刷り込まず、やさしく塗るのが効果的です。厚く塗ったからよく効くということはありません。

ステロイド薬は急に減らせない、止められない
私もそうでしたが、アトピーで苦しんでいてステロイド薬を使っている人の多くは、ステロイド薬を止めることができなくなっています。これは本来からだで産生されるステロイドを外部から補うため、自力でステロイドホルモンを産生する能力が低下するためです。こうなると、薬を弱くしたり回数を減らすことが困難になってしまいます。ステロイドを使うことによって事態が悪化するという最悪のサイクルが起こるので、十分に注意してください。

ステロイド薬は朝使用する
ステロイドホルモンは一日の中でも早朝につくられます。ですから、ステロイド薬を使用するのは朝にするのが理想です。一日中ステロイド薬を使用していると血中濃度も一定に保たれるため、副腎の機能は抑制され、ステロイドホルモンを自分で産生する力が弱っていきます。宇宙空間に長く滞在すると歩行が困難になるように、筋肉を使わないと弱るのと似ていますね。自分でステロイドホルモンが作れなくなると、また薬に頼るという悪循環に陥ります。できるだけ上手に薬を減らしていくために、ステロイド薬は朝に使用しましょう。

上手にレベルと使用回数を落としましょう
先述したように、アトピー治療は「悪化因子の除去」「スキンケア」「薬物治療」が3本柱です。ステロイド薬だけでは対処療法でしかなく、根本治療にはなり得ません。悪化因子をしっかりと探して、除去することが大切です。どんな時にかゆくなるか、その原因を仮説でも良いので立ててみて、その原因を取り除く、という作業を根気よく続けましょう。スキンケアも、自分に合ったものを根気よく探して、継続してください。「悪化因子の除去」と「スキンケア」が出来ていれば、ステロイドのレベルを落としてもお肌が安定するようになっていきます。レベルが一番低いものになったら、使う頻度を2日に1度に減らすというように、少しずつ減らしていくことが真の改善につながります。

オラン・ク・オランの開発者として
私のアトピー歴は、中学生の頃からおよそ10年間でした。その間、ステロイドを乱用して全身が真っ赤になるまで悪化してしまったこともあります。ステロイドだけに頼り切っていたからです。本当に大切なのは悪化因子をひとつでも多く見つけることです。個人差が大きいと思いますが、ステロイドを慢性的に使い続けるよりは根治に近づく方法です。私は、良い石けんを使うことでお肌の状態が改善しました。同様に、当店の石けんがきっかけでお肌のトラブルが解決したお客様がたくさんいらっしゃいます。私の経験と、オラン・ク・オランの石けんが、一人でも多くの方のスキンケアに役立てば、これ以上の喜びはありません。

このコラムは、私個人の経験とアドバイスを紹介しているもので、アトピーの改善を保証するものではありません。

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