私たちが「効率」ではなく「時間」を選ぶ理由
世の中には、短時間で大量に生産できる石けんが多く存在します。熱を加えて急速に油脂を反応させ、効率よく枠に流し込む製法です。しかし、無添加手作り石けん専門店オラン・ク・オランが採用しているのは、それとは真逆の製法です。
私たちは、熱を加えずにつくる昔ながらの「コールドプロセス製法」を守り続けています。この製法では、石けんの形になってから皆様の元へお届けできるようになるまで、1ヶ月以上の熟成期間を要します。ただじっくりと、自然に反応が進むのを待つためです。
なぜ、そこまで手間と時間をかけるのでしょうか。それは、大量生産の製法ではどうしても失われてしまいがちな、素材本来の持ち味と「目に見えない贅沢」をそのまま石けんに閉じ込めることができるからです。

熟成の過程で自然に生まれる「天然の保湿成分」
コールドプロセス製法の最大の特長は、油脂とアルカリが反応する過程で、肌にうるおいを与える成分である「グリセリン」が自然に副産物として生まれ、そのまま石けんの中にたっぷりと残る点にあります。
大量生産の製法(塩析法など)では、石けんの純度を高めるため、また別の化粧品原料として転売するために、このグリセリンを取り除いてしまうことが一般的です。その結果、洗浄力は高くても、洗ったあとに肌がつっぱりやすい石けんになりがちです。
一方で、1ヶ月以上かけて熟成させたオラン・ク・オランの石けんは、自然に生まれた天然のグリセリンが丸ごと中に含まれています。グリセリンには水分を引き寄せる性質があるため、汚れをすっきりと洗い落としながらも、肌に必要な水分を奪いすぎず、しっとりとしたやさしい洗い上がりを保つことができるのです。これが、私たちが時間をかけてでもコールドプロセス製法を選ぶ一番の理由です。
熱を加えないから、植物油脂の栄養が生きている
もう一つの大きな利点は、製造工程で「熱を加えない(コールド)」ことです。
石けんの主原料となる植物油脂には、さまざまな天然の特性が含まれています。しかし、これらは熱に弱く、高温で加熱するとその特徴が損なわれてしまうことがあります。
オラン・ク・オランでは、アボカドオイルなどの厳選した植物由来の素材を使用しています。コールドプロセス製法を用いることで、これらの油脂が持つ繊細な特徴を壊すことなく、石けんにそのまま生かすことができるのです。カエプティやココナッツなど、自然の恵みをまっすぐにお肌へ届けるための最適な選択が、この製法でした。

イメージではなく「中身」がもたらす、洗顔後の心地よさ
化粧品の価値は、華やかな広告や美しいパッケージだけで決まるものではありません。大切なのは、毎日直接お肌に触れるその「中身」そのものです。
コールドプロセス製法で作られた無添加石けんは、合成界面活性剤、合成保存料、合成着色料などの添加物を一切使用していません。余計なものを加えず、植物油脂の良さと天然のうるおい成分だけでできているからこそ、洗髪や洗顔において、すっきり感とマイルドな使い心地を両立させることができます。
1ヶ月以上待つという選択は、ビジネスの効率としては決して良くありません。しかし、10年間肌の悩みに向き合い、本当に納得できる品質を追求してきたからこそ、私たちはこの製法に妥協しないと決めています。
効率を優先した洗顔料を使い続けるか、それとも自然の調和がもたらす「贅沢なうるおい」を肌で感じるか。ぜひ一度、オラン・ク・オランの石けんを泡立てて、その違いを確かめてみてください。洗い流した瞬間の肌の感触が、私たちのこだわりを何よりも雄弁に物語ってくれるはずです。

