あなたのくらしに寄りそう石けん
石けんは古くから洗浄剤として使われてきました。赤ちゃんの沐浴においても、石けんが用いられる場面があります。一方で、現在は多くの方が合成界面活性剤を含む洗浄料を日常的に使用しています。石けんと合成洗浄料は、どちらも汚れを落とすために使われますが、その原料や製法には違いがあります。洗浄剤の種類や特徴を知ることで、自分のくらしに合ったものを選ぶきっかけになります。改めて石けんの存在を見直してみるのはいかがでしょうか。

5000年の歴史を持つ石けん
石けんと人類との関わりは、今からおよそ2000〜5000年前にさかのぼるといわれています。伝承によれば、羊を焼いたときに流れ出た脂と、燃えた木の灰(アルカリ分)が混ざり、自然に石けんのようなものができたとされています。石けんは大まかにいえば「油脂とアルカリ分が反応してできるもの」であり、この偶然の混合が人類と石けんの出会いの始まりと伝えられています。石けんは長い歴史の中で生活に用いられ、現在でも広く使われています。また、天然由来の原料からつくられるため、水と二酸化炭素などの自然界に存在する物質に分解されやすい特徴を持っています。
一方、市販の洗剤のほとんどを占める合成洗剤ってどんなもの?
合成洗剤の歴史はどうでしょう。1917年、ドイツにおいて最初の合成洗剤AS(アルキル硫酸エステルナトリウム)が開発されました。第一次世界大戦のさなか、食用油が不足したために石けんの代用品として開発されたものでした。ほんの100年ほど前のお話です。そして第二次世界大戦中、動植物油脂の不足を背景に、石油を原料にしたABS(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)という合成洗剤が開発され、戦後アメリカではこのABSにリン酸塩を加え、家庭用の合成洗剤が発売されました。
石けんの代用品として広まった合成洗剤
石けんの代替品として、より安価な原料で製造できる合成洗剤が開発されました。合成洗剤は、高温・高圧の環境下で製造される工業製品であり、石けんとは異なる性質を持っています。日本では1950年(昭和25年)にアメリカからABSが輸入され、これを原料とした合成洗剤の生産が始まりました。その後、電気洗濯機の普及やテレビコマーシャルの影響で広く使われるようになり、1963年(昭和38年)には生産量が石けんを上回るまでに拡大しました。メーカーにとって、原料が比較的安価で短時間に製造できる合成洗剤は大きな市場性を持つ商品となり、多くの企業が生産に参入していったといわれています。
合成洗剤の問題点
合成洗剤は販売直後から環境汚染や皮膚障害などの問題が起こりました。環境ホルモン(内分泌かく乱物質)の原因物質と疑われているものもあります。合成洗剤を誤飲して死亡するというショッキングな事件も実際に起こっています。こうした事実があるにもかかわらず、どうして未だに合成洗剤の方が売れているのでしょうか。いろいろな理由があると思いますが、ひとつは安価な原料で作ることができる合成洗剤が大きな利益を生むため、メーカーがこぞって広告費をつぎ込んで良いイメージを常に消費者に植え付け続けているからでしょう。 もうひとつは、私たち消費者がこれらの事実を知らないということが言えると思います。
かしこく凛とした消費者に
合成洗剤について知ろうとする時、ややこしい言葉がたくさん出てきて、頭が混乱するかもしれません。また表示についての法律も、消費者ではなくメーカー寄りの内容になっているのが実情です。知ることは非常に大切です。ましてや毎日自分の大切なお肌に触れるものです。原料がどんなものかわからないのに、イメージだけで使い続けているものはありませんか。きちんと知って、より良い商品を選択しましょう!
ずいぶんと偉そうに書いた文章で恐縮ですが、これはオラン・ク・オランを立ち上げた当時に私が「石けん回帰」を呼びかけるつもりで書いたコラムです。本当の意味での石けんをもっと多くの人に知って頂きたい一心で書きました。合成洗剤と石けんについて興味がありましたら、最寄りの図書館などでもっと詳しい本が置いてあると思います。石けんや合成洗剤というキーワードで、調べてみてください。今後ともどうぞよろしくお願い致します。
オラン・ク・オラン 橋本健一

